晴釣雨読

As the train goes through the mountain path, leaning on the lightcyan window, only I would think about my fun.

小川洋子「博士の愛した数式」

いいねえこれ!!
この人の本初めて読んだ。吉本ばなな*1を精巧にした感じ。他は知らないけどきっと綿密に調べて下地固めるタイプの人かも。好感度巨大。
これを書くのに藤原正彦が協力したとかで、この人の本も1冊一緒に注文しといたのよね。でも先に読んだらそれは全然まったく何一つおもしろくなかった。変哲のなさすぎるエッセー集。
で、博士はなんでもかんでも数字や数式の人で、なるほど数字っていう角度で幅が広がるもんなのねと思って今、「人はその知る語彙の中でしか思考できない」って言ったの誰だったかなーと思って調べてたら、
http://benesse.jp/berd/center/open/syo/view21/2005/04/s01toku_13.html
がヒットしてたまげた。

「言葉」はほとんど「思考」に等しいのです。100か200の語彙しか持っていない人は、それに見合った思考しかできないのです。

語彙が思考を決定する、っていうのは単に真理だろうから誰が言ってもおかしくはないんだけど、でももっとずばり格言めいてたんだよね。誰だったかな。重鎮。加藤秀俊あたりだと思うんだけど。うーん。
でねーこの数学者があとがきに、純文学の作家が云々て書いてるんだけど、これ純文学なの?かなり読みやすいよ。だってちゃんと話オチてたもん。映画化されたぐらい綺麗だし。
ほら純文学っていうのはさー、話が超もりあがってきて「これどうやって収束するのかしら!?」って心臓ばくばくしてるとこにいきなり「そして私は窓を閉めた。」とかで理不尽に終わっちゃうオチなし本のことだとばかり、思ってました。

*1:ていってもむかーし1冊読んだだけの遠い記憶だから違うかも。