晴釣雨読

As the train goes through the mountain path, leaning on the lightcyan window, only I would think about my fun.

あたしは幼稚園の年中組のとき、芋ほりの絵というのを描いた。

先生が用意した横に長い巨大な紙。そこにさつまいもの畑が書いてあるところに、自分が芋ほりをしている絵を画用紙に描いて、色を塗って、はさみで切ってから、それを好きな場所に貼る、という企画だったと思う。
何ゆえそんなことを覚えているかと言えば、「褒められた」から。誰もが直立不動の自分を描き、手だけ伸ばして芋を描いていたのが、あたしの絵だけは違っていた。
確か友達の誰かに「しゃがんで」とモデルになってもらい」、どうやって屈んだかを再現して、自分の芋ほり図を描いたからだった。それを保育士の先生達が畑絵に集合させたとき、あたしの絵だけがちゃんとしゃがんでいることに驚いた。それをあたしは、褒められたんだと思った。だから覚えている。
ただしそれは横顔ではなかった。上半身はそのままで、下半身だけ屈んでいる。ピカソのような構図だったんだけどさ。