晴釣雨読

As the train goes through the mountain path, leaning on the lightcyan window, only I would think about my fun.

その後、また強烈に印象的な風景を見た。

あたしは大和田の脇に車を停めてた。
横断歩道3本のT字路交差点。
つきあたりは一方通行で車道の幅は狭く、歩道は両側とも広い。
人がわらわらと歩いていく。人がなかなか切れない。
という状況で、ブブブーっとクラクションが鳴った。
横断歩道で、タクシーが急停止でつんのめってるのがわかった。
鼻先にいる歩行者のおっさんに鳴らしたっぽい。
タクシーはお客が乗ってる。
歩行者は激怒してタクシーをガンガン叩いて怒鳴りつけてる。
後ろにどんどん車がたまってる。
多分、「やっと歩道を渡る人の群れが切れて、さあ行こう」ってタクシーが踏み込んだ瞬間、そのおっさんが走って渡ろうとしたから鳴らしたんだろうなと推測。
しかしタクシーのあの鳴らし方は、警告じゃなくて威嚇だ。
「危ないですよー気づいてますかー」じゃなくて「死にたいのかこのバカ野郎!」って意味。
しかも法規的には、信号のない横断歩道じゃ歩行者は神様。渡ろうとしてるだけで歩行者が神。タクシーはクラクション鳴らす立場にない。歩道を走る自転車が歩行者に「どけよ!」とリンリン鳴らす立場にないのと同じ。
それを知ってか知らずか、歩行者のおっさんは車体のあちこちを平手でバンバン叩いて怒ってる。普通のサラリーマン風なんだけど。
タクシーの運転手も恐らく、その歩行者が見るからに悪そうなヤン衆とかヤクザとかだったら、絶対に、そんな威嚇はしなかった(と、思う)。余りにも普通のサラリーマンの風体で何もそんな喧嘩っ早いようには見えなかったから、このバカ野郎!って鳴らした(んだろう、と思う)。
自分よりも善良だろうとか自分と同じ程度の良識を持ち合わせているだろうとか、見た目で判断すると不愉快な思いをするということを忘れていたのを今日また思い出した。
いい車に乗ってる人間にすり寄ってくような下衆はよくいるけど、ベントレーってだけで良識を予断したあたしも畢竟発想が同じかもしれない。じゃあ、何を以てして何をするかしまいかを判断するべきなのか、ってことなんだけど。