晴釣雨読

As the train goes through the mountain path, leaning on the lightcyan window, only I would think about my fun.

簿記2級の勉強を船荷証券が出たあたりで諦めた脳みそにはつらい。

長いわ難しいわで後で読もうと思ったんだけど、場所も忘れそうだからメモ。

 

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1400兆円とは家計の金融資産ですが、経済全体から政府の負債と家計の金融資産を抽出して比較する事は無意味です。
貨幣は全て借金で流通しているため、金融資産と負債は必ず同じで、金融資産が減少するのは借金を返済した時だけとなります。

例として、国民Aが1兆円の現金を保有している状態から、政府が1兆円の国債を発行し、国民Aが全額購入したとします。
この取引の結果、政府には1兆円の金融資産(現金)と負債(国債)が、国民Aには1兆円の金融資産(国債)が計上されます。
政府が現金を支出しても、国民に移動するので消滅はしませんし、国民Aが国債を売却しても、国債を購入した人に移動するので消滅はしません。
この事から、政府が1兆円の負債を作れば、経済では必ず1兆円の金融資産が作られるとわかります。
政府でなくても、企業・個人が借金をした場合は、資金を貸した人に金融資産(債権)が発生するため、負債の増加が金融資産の増加と一致します。
また、政府が国民から1兆円を回収して国債を償還した時点で、経済から政府の負債(国債)と国民の金融資産(国債)が消滅するので、負債の減少が金融資産の減少とも一致する事になります。
そして、最初の「現金1兆円」も、日本銀行から借りている貨幣ですから、経済全体では必ず負債と金融資産が一致します。

日本銀行資金循環統計によると、2012年末時点で、日本国内の金融資産は5913兆6226億円、負債は5623兆7425億円となっています。
この日本国内全体の金融資産と負債の差額が「対外純資産」であり、国内経済に限定すると、外国と取引する結果として差額が生じていきます。
日本が世界最大なのはこの差額(対外純資産)で、2000年末時点では131兆3895億円、2005年末時点では178兆5745億円、2012年末時点では289兆8801億円と増加し続けています。
このような国は破綻しないと主張するのが破綻否定論で、政府負債が家計金融資産の1400兆円を超過するか否かは関係ありません。

少なくとも、統計上は負債に対して金融資産が存在しないとおかしいので、金融資産が嘘なのであれば、負債も嘘になります。
GDPとは経済全体の金融資産から発生するものなので、負債(金融資産)が増加しないとGDPも増加せず、民間の負債が減少する不景気であれば、政府が負債を作るべきというのが国債容認論(財政出動派)です。

補足(本文を一部削除)
1400兆円を根拠に、国債を容認する主張は完全に間違いです。
ただ、国民が貯金をした場合、最初に負債を計上するのは銀行で、国民Aが現金1000万円を銀行に預けた場合の金融資産・負債は以下の通りです。

国民Aの金融資産:預金1000万円

銀行の金融資産:現金1000万円
銀行の金融負債:預金1000万円

預金者は現金を銀行に渡していますが、預金資産として1000万円を計上できますし、銀行はその預金を負債としつつ、現金1000万円を現金資産として計上できます。
金融機関への貯蓄は貸付と同じなので、預金・年金・保険等を支払う時点で、経済全体ではその分の負債と金融資産が増加します。

ここから、銀行が国民Bに現金1000万円を貸した場合の金融資産・負債は以下の通りです。

国民Aの金融資産:預金1000万円

銀行の金融資産:債権1000万円(国債と同様、債権も金融資産)
銀行の金融負債:預金1000万円

国民Bの金融資産:現金1000万円
国民Bの金融負債:借入1000万円

新たに金融資産と負債が1000万円ずつ増加します。
金融機関は、国民の引き出しに対応できる現金を残し、大半を誰かに貸して運用しているので、1400兆円も資金が遊んでるような事がないのは確かです。
経済全体で見た場合、年間(一定期間内)に貯蓄される資金と、投資される資金の差が問題になります。
ここで誤解が多いのは、貯蓄とは預金だけではないという事で、年金・保険・借金返済等が貯蓄に含まれます。
年金・保険は預金と似たようなものですが、既存の借金を返済した場合も、返済された銀行は新たな融資を行う必要があるので、経済では消費以外が全て貯蓄とされます。
この貯蓄から、企業・家計・政府が資金を借りて投資するのですが、投資された資金は経済で循環して再び貯蓄となるので、経済全体では常に負債と金融資産が増加し続ける循環が多くの国で起こります。
ここから、政府の国債が国内で消化できない状況を想定するなら、日本で新規に発生する貯蓄が減少するか、民間の投資(負債)が増加し、政府に貸せる貯蓄が無くなる時です。
日本で新規に発生する貯蓄が減少するのであれば、循環している資金が貯蓄されずに消費され続ける事になるので、消費不足が解消して好景気になりますし、民間の投資が増加するなら、それも好景気です。

因みに、国内の貯蓄から投資(負債)を引いた余剰金は、外国に貸す事になるので、その分だけ対外純資産が増加していきます。
日本で対外純資産が増加し続けているのは、国内の貯蓄より借金が少ない証拠となり、国債容認論へと繋がります。